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[連載小説]ヒット。(#40.2) |
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入江 |
12/24 19:49 |
『サトウ、お前はムラカミを抱えて安全圏まで離脱しろ。敵は…これよりフェアリーと呼称する。フェアリーの居場所は前方、約640m先の4階建てのビルの屋上だ。おそらく伏射している。“マップポインター”で確認もとれた。確実にいる。そこで、だ。2分後、俺達4人の一斉射でビルの屋上を叩く。…これは囮だ。本命はお前達を逃がすこと。できればシライシも助けてやりたいが…十中八九無理だ。良いか?3分後に開始する。お前はムラカミを抱えて路地を利用し、逃げれば良い。俺達には構うな、よし、カウント開始だ』
私も“マップポインター”__地形を表示する携帯端末(電子立体地図)に敵味方の位置を示す術式__でフェアリーの位置を確認しておく。この“マップポインター”は優秀で、敵を赤色の点、味方を緑色の点で表示してくれる。術式部隊に入隊する時、一番最初に習うものだ。
しかし、“マップポインター”を誤魔化す、“ポインターディシィーブ”という術式も存在する。だがこの術式は、精鋭と呼ばれる人間しか使うことはできない。ましてや、ロシア連邦軍だと思われるフェアリーが、術式を使用できるはずがない。