「なぁ〜あ〜‼
見えてんだろォー!返事しろよぉ〜〜!!!」
仕事途中、俺は1人の男性に絡まれていた。
だが、そんなことを気にする価値も無いので、ドスルーして脚を家に進める。
「なぁってー!σ(゚∀゚ )オレ、そういうよの傷つくタイプなんですけどぉー!!!」
知るか。たった1言を心の中で吐き捨てると、一層脚を早めた。
「ねぇってーーーー!!!」
煩い。疎い。諄い。
リズミカルな韻が脳内で出来上がったところで、その絡んできた男性は、俺の顔を覗き込んだ。
「あ、目ぇ合った」
ニヤリと笑ったそいつは、俺の顔と全てが逆さまだった。
浮遊しながら、逆さに頭を覗き込んだのだから、たまらず俺も「う゛」と声を漏らす。
「あーっ!あっあっあっー!
今声出したよなぁ!?ビビったよなぁ⁉」
どこか嬉しそうな声で話しかけてくるが、道端で見ればたただ1人で呻いているという醜態を晒しているただの新社会人。
もう関わりたくないとばかりに、一気に駆け出した。