もうこの際仕方ない。
会議などで、「部長カツラじゃん」などと呟かれては、頬が緩んで仕方ない。クビになる可能性だってある。
脅してでもこいつに成仏してもらわなければ、と半分犯罪者になった気分で家のドアをぶち開けた。
「おっじゃましまーっす!」
もうここまですると、挨拶1つで礼儀正しく見える。
寿命と感じた目元を抑えながら、鞄を定位置に。
「一先ず、着替えるからそこのソファに座ってて。
いい?何もしないでよ?」
にっこりスマイルで、強く強いる。
早くも近くの家具に目を取られていながらも、「あ、うん!」と元気よく返事をする幽霊。
(…なんで私あんな幽霊家に上げたんだろ…)
初期の目的などすっ飛んでしまい、クローゼットから着替えを出してぱぱっと着替えた。
道中、買ってきた弁当を開きながら、こちらを凝視してくる奴に問いかけた。