「んーーーっ、今日はいい天気だなぁ…」


神は背伸びをすると、カーテンを勢いよく開けた。
太陽の零れ日が部屋を明るくする。

「絶好のお祭り日和だ!!」
窓に向かって一声上げると、パジャマから普段着に着替える。
階段を下りていくと、母親が朝ご飯の支度をしていた。

「お母さんおはよ」
「……」

神の母親は、ただ無心にフライパンを操っていた。
「……」

3日前から、母親はこんな調子だった。
挨拶しても返事はくれないし、何もかもが無心で作業している。

まるで、魂を抜かれたように。

そんな母親を心配しながら、テーブルに置いてある朝食に手を出す。
口の中で広がる、卵焼きの甘い味。

昔から神は、この味が大好きだった。

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