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[連載小説]ヒット。(#43.1) |
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入江 |
1/3 19:52 |
フェアリーは即座にスチェッキンを構えようとしたが、カンザキの方が素早かった。軽やかなステップインと完璧に連動したハイキックで、持っていたスチェッキンを蹴り飛ばした。
敵の持った武器を蹴り飛ばす、と言うのは簡単だが、実戦で使うとなると難しい技だ。そこで、その行為をサポートするのが、身体強化系術式だ。いわゆる“バースト”と言われる術式で身体能力の底上げをすることで、フェアリーよりも先に行動することが可能となったのだ。しかも、“バースト”はカンザキの得意分野でもあった。
強化された蹴りによって弾き飛ばされたスチェッキンは、放物線をえがき10m以上先の道端に落下した。武器を失ったフェアリーは衰えることなくタックルを仕掛けた。ただの接近戦では不良だと瞬時に判断したのだ。CQC(接近格闘)を得意とするフェアリーだが、“バースト”を使用した相手と真っ向から戦うのは愚かだと、幾多もの戦闘経験があるフェアリーは考えたのだ。実際、その判断は正しかった。