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[連載小説]ヒット。(#44.1) |
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入江 |
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「…さん…さん…っ! カンザキさんっ!!」
「ぃって…シライシ…? なにも蹴らなくても…」
蹴りで上官を起こすとはいい度胸だ。蹴られた箇所を擦ろうと腕を伸ばそうとしたが、拘束具によって阻まれた。
「ここは? あれからどれくらい経ったか分かる?」
シライシは頭を振った。
「だよね…。 ったく、どこでミスったのかなぁ…」
万事休すとはこの事。カンザキは割りと諦めのいい方だ。しかし、生きることから顔を背けるほど落ちぶれてはいない。
カンザキの得意分野は“バースト”だが、無論その他にもある。それは、魔力依存系術式の無属性に属する“変換”という術式だ。その名の通り、A物体の形をB物体の形へと“変換”させる術式だ。古来の錬金術に酷似していたため、術式使い__ウィザード__の仲間内では“マジックアルケミー”と呼称されている。また、“マジックアルケミー”を主に使うウィザードの事を“マジックアルケミスト”と言う。