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[連載小説]ヒット。(#45.1) |
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入江 |
1/5 23:13 |
スタスタと布地と床が擦れる独特の足音。スリッパを履いてフローリングを歩くとこんな感じになる。
「起きたみたいだね」
発音が綺麗で片言じゃない。流暢な日本語だ。妖精の金髪を彷彿させる美しいロングヘアーを背中側に流し、すらっとしたジーンズに大きく開いた深紅のシャツが際立っている。
右手にグラスを3つ、左手にバーボン·ウイスキーのボトルを持っている。
「君達は、日本の兵士だろ? なぜユジノクリリスタに? …飲むかい?」
ボトルを左右に振って、バーボンをアピールする。だが敵の用意した酒など飲める筈もない。応えはNo。
「それもそうか、…毒なんざ入っていないんだけどな」
思わず失笑、という感じに笑った。フェアリーは私達に背を向けてグラスにバーボンを注ぎ始めた。この犂に、シライシのフレックスカフを完全に切断し、ナイフを手渡した。
「……あぁ、そうだ。シライシ君の“それ”は所謂術式とか言うやつで作ったのかい?」