なんとも胡散臭い天国だ。
悪徳のセールスマンの方がしっくりくる。でもまあ、初めて、というかちゃんと記憶のある死後の世界を拝めたからいいか、なんて自己満に等しい解決内容で、自分の心に整理をつけた。
「羽根がないのに天使なんだな」
「見た目重視の上層部とは違うので」
「天使もカースト制なのか」
「当たり前です。森羅万象、命ある者は皆、どこかの位に位置しています。
人間のあなたには、よく解っていますでしょう??」
悪意があるのかないのか、なんにしろこいつの言い方に棘はなかった。
人類でもないくせに、口だけは達者な気がして少しイライラした。
「俺、電車に轢かれて死んだんだよな?」
最後の情景がボンヤリ浮かんできた。
というか、思い出した。
踏み切りの音がして、横にあったのは路面電車の顔。
車掌の驚く顔を同時に思い出して、滑稽に思えてきた。
「まあそうですね。早速なんですけども」
どこに収納してるのか、紙の束を出してきた。
ペラペラと捲る音が不気味に響く。