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[連載小説]ヒット。(#45.2) |
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入江 |
1/5 23:48 |
「!!」
驚いた。シライシの拘束具を切断し、ナイフを持っていることにきずいたのか? 尋常じゃない観察力と洞察力
だ。
「!? シライシ、早まるな!!」
なぜ項を焦ったのか、フェアリーにシライシが襲いかかった。実力の差ははっきりしているのに、感情でしか動けない情けない女だ。
ナイフを持っているぶん、シライシの方が優位だが、技術的にはフェアリーが圧倒していた。
シライシは初手で距離を詰めて勢いを活かした突きで攻撃したが、分かっていたとでも言うような素早い身のこなしでかわし、ムエタイのような鋭い膝蹴りでシライシの下腹部を強打した。膝蹴りをもろにくらったシライシは、躍り焼きにされた海老の様に折れ曲がり、胃の中身をぶちまけた。
フェアリーはその間もグラスは持っていたが、一滴も中身をこぼしていなかった。
もがき苦しむシライシを一瞥し、グラスを口に運んだ。
「カンザキ君、だったかな。 君とは少し話がしたくてね、ここじゃ何もない、上で話そう」
そう言って、おもむろにナイフを取り出した。ボタンを押すと刃が飛び出す、ジャックナイフだ。