「徳を積んだ分見返りを要求する。いいじゃないですか、大変人間臭く!!
分けた優しさも、人情も全て自分の為!いいですねえその貪欲な姿勢、ハングリー精神。
欲求の権化である人間は本当に素晴らしい!!」
「……」
「おっと、私としたことが。取り乱しすぎました」
人相は、全く変わっていない。
のくせに、何かドロドロを隠したような笑みに戻ると、背筋が凍る気がした。
天使ってマジでなんなんだ。
「…天使のくせに悪魔みたいな思考しやがるな」
「天界でも、思想の自由の制限は緩いので」
「おまえ、変だな」
「よく言われます。特に、人間から」
まさかの経験済み。
成仏どころかますます心臓を悪くしそうな、魂の誘導に向いてなさそうなコイツだが、どこかしら人間味…いや、下衆さが滲み出てて、余計に胡散臭さと不信感しか増さない。
一応、案内係として就いてしまった自分の運を恨もう。
逆にコイツを、この天使を恨めない自分がいる。
同じところに迷い込んでしまった俺が、天使と重なる音がしたから。