「私のせいですが、脱線を戻すと、窃盗をしたのは妹さんのためなんですか?」
「んまあ」
「ずっとバイトして貯めたお金を、知人に奪われた…が動機。
だから筆箱一つという、こんな小さな罪を犯したのですね」
「…やっぱ変人だな」
「といいますと?」
「罪に大小を付けるからだよ。さっきだって理不尽っつってただろ。
何盗っても、窃盗の刑罰は皆同じだ」
「ほう…」
「ほんっと、理不尽。
…俺、なんのために死んだんだ」
胡座をかいて、上を見る。
変わらない真っ白な景色に苛立ってくる。
どうでもいいことはとことん見て見ぬふりをしてきた。
何かを得るなら、なんだってしてきた。
全て、大切なものを守るために。
「不平等が人々に平等に与えられています。
末期ですね!あなたも、あの世界も!」
「天使」
「はい?」
もういい。振り返るな。
罪を、不平等な罪を償って俺は俺を殺す。死ぬ。