無機質なビルの合間に作られた道路。トラックやら車やらがクラクションを鳴らして前を急かす中、皮肉のように追い越しまくるバイクがあった。
乗車の青年は一際大きなビルの駐車場へ停めに入り、ヘルメットのプログラムを消た。
そのままゲートをくぐると、これまた沢山の人々が己の目的地まで縦横無尽に歩く景色だ。
もうこの風景も慣れてしまった。
青年は一呼吸おくと、周りの大人のように、目的地である仕事場へ歩を進めた。
「刑事課所属、６係の心意でーっす！！」
復帰一番は元気良い挨拶から、と初めから決めていたし、シュミレーションもしてきた。
はず。
でも、仕事場に誰もいないなんてシュミレートしていなかった。
予想外のアクシデント。
霖 心意（ナガアメ ココイ）は無人の部屋の中、なんだかおかしな気分になっている気がした自分の気持ちを紛らわすように、頭を掻いた。
