***
「出所おめでとうございま〜す」
連絡を入れてきたのは、上司に値する人だった。
「人の謹慎で遊ばないでください…。赤瀬課長…」
というか、出所だったら刑務所は自宅になるだろ。
と思った心意は口を閉じた。
代わりに上夢がツッコんだ台詞に対し、赤瀬課長はからから笑うだけ。
「まあ、そんな冗談は置いといて」
あんたが始めたんやろ。
謎の関西弁ツッコミが、またもや心意の心の中で爆ぜた。
「今日は部署はっぴょ〜う、なんだけど、いつも通りココの部署でって」
「え、本当ですか!?」
「ええ」
やっと心意が口を開けた。
第一声が歓喜の声なんてありがたい。
「そーしーて!」
課長の顔が、一気に笑顔になる。
上夢の中で、嫌な予感はしていた。
「新しい仲間が増えちゃうます!」
「仲間?」
「…」
おうむ返しの心意の隣で、鋭く光る上夢の目は、真っ直ぐ、赤瀬課長を見据えた。