「入ってらっしゃい」
赤瀬課長の命で、隣の部屋から来たのは、小柄な青年だった。
「公安局監査局から参上しました。
犂音 世毬(スキネ セマリ)と申します。
よろしくお願いします!」
ニカッと笑う口から見える白い歯。
どことなく爽やかな風格だが、上夢にとっては胡散臭さ100パーセントと感じ取る。
なんとなくだが、表情だけで誤魔化しているような、侮れない雰囲気。
でも、顔面偏差値としてはまずまずの数値を叩き出しそうだ。
きっと、誰もが好印象を抱くであろう。
「あれぇ、反応薄いなあ」
おちゃらけた態度に上夢の怒りメーターは少しだけ上昇した。
こりゃしまった、と上夢の性格を把握しついる心意は、慌てて課長に話を振る。
「あ、赤瀬課長!彼は?」
「名の通り、あなたたち2人の監査官よ。
上からの指示で、公安局の刑事課に助っ人として監査局から派遣されたのよ。
でも、これはあくまでテスト。
そのモルモットに、あなたたち2人が選ばれたのよ。
直々にね?」