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[連載小説]ヒット。(#45.4) |
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入江 |
1/8 19:56 |
「直球なのは嫌いじゃなけど、話はメシを食べてからにしよう。 腹が減ってはなんとやら、だ」
ジャックナイフを手のひらで弄んでいる。俗にいうナイフアクション。魔法か手品に見えるほど鮮やかな手捌きだ。
フェアリーは再度シライシを拘束し、持ってきたバーボン片手に扉に向かった。通路に出て、左は階段、右には段ボールが積んである。部屋や通路に窓一つ無かったことなどを考えると、私達がさっきまで居た部屋は地下室だったのだろうと推測出来た。
一言も言葉を交えず、大人しくついていくと、物置に使われているような部屋に出た。埃っぽいそこは、微かに火薬と油の臭いが漂っている。
物置から廊下に出ると自然の光が窓から射し込み、やわらかな空気が充満していた。蛍光灯のやけに白い光が照らす地下室とは大違いだった。それから、フェアリーに案内されリビングに着いた。リビングには一般的なテーブルと椅子が用意してあって、白いテーブルクロスが敷かれていて清潔感がある。スプーンやフォーク、ワイングラス等が用意されていた。