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積荷を乗せて、人を乗せて、
猿の班は簡易基地を出発した。
たった数日の歳月なのに、
どことなく虚しさを感じるのは
情が移ったわけではない。
ここも、いずれ廃れるのだ。
敵襲はすぐそこまで迫っている。
戦争も激しさを増すばかり。
まるで、全人類を駆逐するかの如く、
戦火は上がり続ける。
「中佐ー。
これからどこに行くんですか」
車の酔いに耐えるケロロの隣で、
masaが気を抜いた口調で問う。
「蒼との境界線付近の跡地へ急ぐ。
作戦概要はそこで言い渡されーーーー」
猿の言葉が止まった。
「中佐?」
みるがそっとケロロを制して、剣を抜いた。
「伏せろ!!!」
怒涛の叫びを猿が上げて、同時に外で鋭い光と轟音が轟く。
「うわぁッ!!」
そのまま車が大きく横転。
咄嗟に地面に手を着いて、
巻き込まれるのだけは阻止した。