「ったく、この家には窓がねえのかよ」
青山の後ろを走る梶が愚痴を言う。爆発音がしてから五分くらい経っただろうか。青山と梶は出口を探していた。しかし、いっこうに見つからない。
(煙の臭い…時間が無いな)
青山は焦る。
「そういや、岸本の家族はどうしてんだ?」
梶が能天気な声をあげる。
岸本晶には、妻と息子がいる。妻の方は三十半ばと、岸本晶と十才以上離れている。息子は高校生なので、十代頃に出産した計算になる。
「俺達が来るのを知って、どこかに逃がしたんだろ」
というか今はそれどころじゃない、と青山が続けようとしたのと、梶が
「あったぞ!」
と声をあげたのは同時だった。