梶が指差した方には、薔薇の装飾が施されたドアがあった。
「これで出られるな」
梶はスキップしながらドアに近づく。そしてドアノブを思いきり引いた。ドアの向こうは…トイレだった。
「っざけんなよ!トイレのドアくらい質素にしとけよ!」
梶が喚く。
「落ち着け。それに、見ろ」
青山は梶をなだめながら指を差す。そこには窓があった。
「でかした青山、でかした俺」
梶は意気揚々と窓に近づく。青山は呆れ半分に梶を見る。
梶が窓に手をかける。
「なるべく急げ。煙の臭いが…」
青山が言おうとしたとき、何かが崩れる音がした。トイレの外を見ると、廊下が炎に包まれていた。天井が落ちている。
「ついてない…」
青山は溜め息をついた。