間違いがあったとしたら、今日は暑いねという話をし始めたことだったかもしれない。僕らははじめ、うかれていたんだ。熱にうかされて、何も見えなくなっていた。
それがよくなかったんだ。
彼女は今も、このドアの向こうの廊下をはいずりまわっている。僕だけがかろうじて傍の部屋に逃げ込んだ。彼女はあの気味の悪い何かにとり憑かれたようだ。液体の飛び散る不快な音とともに、彼女は這い回っている。
ふいに、天井からぶら下がるあるものが目に留まった。おかしいな。僕はまだ熱に浮かされているみたいだ。
**と*は**んだ**は*。
数秒の後、僕の体は宙を浮いていた。
廊下には、相変わらず何かが這いずる音が響いている。