夏「…茜」
　
そう茜に呼び掛ける。けれど、返事はしてくれない。
　
夏「茜……っ」
　
服の裾を引っ張ってやっと気がついてくれた。
　
茜「……?っ」
　
涙をボロボロと流す私を、茜がそっと抱き締めてくれる。
　
夏「う、うぇ、ひっぐっ」
　
つい、しゃくりあげる。
　
茜は、もう私の声を聞いてはくれない。
　
世界の音も聞けない。
　
私が、茜から音を奪ってしまった。

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