CHIBI QUEST 3 |
小説2 | |||
金平糖 | 8/15 16:39 |
「え?」 そんな困惑の声が出る前に女性が僕の口を塞いだ。このまま上手くいけばこの書店から出れるのに喋ってしまえば僕も女性もただではすまないだろう。バレないように気を付けなければ。
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金平糖 |
8/15 16:57 |
階段を上りきった後、店主が彼女をレジの奥にある書庫を連れていった。店主が見えてない今がチャンスと思ったのも束の間、書庫の方からガチャッという音がした。「あれっ!?なんで扉を閉めるんですか!?」「あの小僧がつけてきて逃げられたらたまらん。やっと来た人間なのに。」
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金平糖 |
8/15 17:57 |
僕は逃げようか迷っていた。だって少ない間とはいえ、あの人も大切な人なのだ。二人で一緒に逃げなければ彼女が大変な目にあってしまうだろう。確証はないがそんな気がする。
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金平糖 |
8/15 18:11 |
一人で逃げるべきなのか、一緒に逃げるべきなのか。「どうすればいいんだ。」僕は小声でそう呟いた。 「うん?声がしたな。そこの本棚の影に誰かいるじゃろ!」やってしまった…。最初に思ったのはそれだった。
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金平糖 |
8/15 20:1 |
折角、上手いっていたのに僕のせいで…と、それと同時に「逃げて!」と怒鳴るような声で彼女は叫んだ。でも僕は「あなたを置いていけないよ!」そう言った。だが彼女は、「優しいのね。でも逃げて、“あの子”を一人にしないであげて?」とさっきと違う優しい声で言った。
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金平糖 |
8/17 13:38 |
「これはあなたと私、二人だけの約束。いい?」僕は答えなかった。答えるのはなんだか悲しかったから。でも、約束を破るわけにはいかないから走り出した。息を切らしながら走って走って、店主に捕まっても腕を噛んで逃げた。もうどうやって走ってるかもわからなかった。
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金平糖 |
8/17 13:52 |
意識を失いそうになりながらも逃げるために必死に足を動かし続ける。悔しかった。彼女を助ける事の出来ない自分の非力さが。腹が立った。一人で惨めに逃げる自分に。でも約束だから。走って走って周りの音が聞こえなくなって、だんだん力が入らなくなっていって。そして、ついには気を失った。
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金平糖 |
8/17 14:0 |
気を失って倒れた後、「ありがとう、あの子の事をよろしくね。」と言われて頭を優しく撫でられた気がした。目が覚めるとそこは見慣れた天井だった。起きた場所は固いコンクリートの上ではなく、柔らかいフワフワとしたベッドの上だ。あれは夢だったのだろうか?撫でられた感覚が残っている。
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金平糖 |
8/17 15:0 |
不思議に思い、夢で見たことを母に話してみた。すると、母は泣いた。予想していなかったことに僕が困惑していると母が「本当にありがとう…」と消えそうなほどの小さな声で呟いた。その日、母は泣いてばかりいたので、仕方なく僕は商店街に買い物にいった。
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金平糖 |
8/17 23:32 |
仕方なく僕は商店街に買い物にいった。しかし、商店街に向かっている最中に一つの空き地があった。それを見た時に僕はこう思った。「ここは、あのお店があったところ…」夢で見たあの書店。調べてみるとあそこにあった書店は何年も前に壊されたらしい。しかし、僕は知っている。あの店の恐ろしさを。僕しか知らない秘密の書店…。幽霊書店はそこにある。
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金平糖 |
8/17 23:32 |
完結しました〜!!
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金平糖 |
8/17 23:32 |