「出来れば、使いたくはなかったんだがな」
使ってしまった事実に、俺は呟いた。
使いたくない。という願いが叶うわけがないのに。
ふらつく体を無理に立たせ、その場から離れていく。
昨日出掛けていたのが不幸中の幸いか、ダサイ部屋着ではなくちょっとましな私服でまぁ良かったが当然、部屋の中だったので裸足で進んでいく。
土に紛れ込んでいる石は若干とがっているのか足の裏が痛い。
だが、そうもいっていられない。早く状況を把握しなければならないからだ。
俺が見た召喚系では森で迷っていた時にモンスターに襲われ、女の子と出会い、一緒に冒険したりする。
他人には嬉しいことかもしれないが俺はそんなもの望まない。
もし、俺がそんな主人公達に出会ったらこんなことを言うだろう
『なぜ、一緒に冒険するんだ?』と。
当然、『仲間だからだ。』とか、当然かのような、正義感溢れる解答を放たれるのだろうがな。
しかし俺は、無意識のうちに無害な奴を操りたくはないんだ。
それに俺のことを知ったとたんいいように利用されるだけだしな。