「お兄ちゃん遅いね…」
妹の真乃だ。
「そうね…猫の散歩遅いわね」
こっちは母だ。
『今入りました。速報ニュースです。
東京都心上空に、黒い円が発生している模様です。』
「黒い円ってなんだろうね?お母さん。」
真乃がつぶやいた。
『また、度々人が吸い込まれるということが発生しているようです。』
「えっ!?」
「なっ?」
今の声は妹と母の驚愕の声だ。
『危険なので、今夜の外出はおやめください。
気象庁は次のような発表をしています…』
「まさかっ!?お母さん!!」
「水樹が危ない!!助けに行かないと!!」
母は心配した表情で、料理を中断しようとしている。
「お母さんも危ないよ!!」
「何を言っているのよ!!真乃!!」
母の顔は少し青ざめている。
「…今は、今はお兄ちゃんを待とう…ねっ…お母さん…」
少し泣きかけの表情で真乃が言った。
「まっ…真乃…」
それから母は、ショックで一日中泣いていた。