男には妻と10歳の娘がいた。
男は毎年クリスマスイヴになると必ずどこかへ消え、クリスマスが終わると必ず戻ってきた。
妻は会った時は不思議に思っていたが、今では当たり前のようになっている。
クリスマスの2日前の夜、娘は勇気を出して父に聞いた。
「なんでクリスマスイヴになるといつもいなくなるの?」
男は答えた。
「お父さんはね、子供達の夢を叶えてるんだ。」
「なんかサンタさんみたいだね!!」
娘は無邪気に笑って言った。
「そうだったらいいのにな…」
父は小さくつぶやいた。娘には聞こえなかっただろう。
クリスマスイヴの朝、娘が目を覚ますと、やはり父はいなかった。