「にしてもこのガキんちょがねぇ」
梶が登を見ながら言う。
「似てないな」
青山が呟く。岸本晶は目が細く唇が薄かったが、登は大きな二重につやのある唇と、作り物めいた顔をしていた。
「あの…なんなんですか?」
登が口を開く。
「お前がイケメンだなって話をしてたんだよ」
梶が面倒くさそうに言う。
「そうじゃなくて、どういう状況ですか、これ」
登は縛られた両手をつき出す。
「お前の親父さんに追われていてね。お前は人質ってところだ」
青山が縄を片付けながら言った。
「聞いてないのか?火事のこと」
「あぁ!それで…」
登は強く頷く。
「とにかく、これから親父さんに電話をかける」
青山はスマホを取りだし、番号を押した。