「誰だよ、あいつら！」
梶が青山に尋ねる。
「水戸グループの助村と格田だ」
水戸グループとは、裏社会で膨大な力を持っている会社で、全盛期には政治にも関わっていたらしい。
「水戸グループ…」
登が呟く。
「お前、知ってるのか？」
「あ、はい…父が言っていたような…」
「にしても、なんで水戸グループに追われて…ん？そういや一年くらい前、水戸グループから三十億盗まれて大騒ぎになってたよな？まさか…」
梶が青山を見る。
「俺だ。依頼されてな。それ以来、追われている」
青山は殺し以外の依頼も請け負っていた。むしろ、その方が多い。
「お前、一年間もよく逃げてこられたな」
梶が感心したように言う。
「大変ですね」
登も同情の眼差しをおくる。
「災難だ」
青山は心から言った。
