「さて、こいつを渡したいのはやまやまなんだが…」
青山が登の肩を掴みながら言う。
「まずはその銃を捨ててくれ」
青山は最初から気になっていた点を指摘する。銃を隠し持っていたことに気づかれた岸本晶は、驚き、苦い顔をして銃を捨てた。
「これで…いいのか?」
「あー奥さんもな」
急に自分のことを言われた岸本妻は一瞬混乱し、そしてポケットから銃を取りだし足下に落とす。
「俺達も武器は持ってないから安心しな」
梶が手をひらひらさせて言った。
この手の動きが合図だった。青山が右手に隠し持っていたピザまんを左前方へ投げる。気をそらせれば何でもよかった。狙い通り、岸本夫婦の視線はピザまんへ向く。その瞬間、視線とは逆の方の茂みから二人の男が飛び出してきた。