二人の男、助村と格田は一直線に岸本晶のもとへ走り寄る。
「おっおい!お前ら!」
急な出来事に驚いた岸本晶の呼び掛けに応じ、車の後ろから二人の男が飛び出す。梶の予想通り、岸本晶の部下のようだ。部下は拳銃を助村と格田に向ける。しかし小柄な男、格田が、それよりも早く拳銃を取りだし、撃った。二人の部下は太ももを押さえてうずくまる。
「何者だ!こいつらもお前らの仲間か!」
岸本晶が青山を睨む。
「本人に聞いたらどうだ」
青山が、助村と格田を顎で示す。
「お前のせいで会社に大損益が出た」
大柄な助村が冷やかに言った。
「ついてきてもらおう。水戸社長が待っている」
その言葉で岸本晶も気づいたのだろう。慌て、車椅子から落ちそうになった。
「な…何故それを…」
そう、一年前の、三十億の件の依頼人は岸本晶だったのだ。