...イオリの背後からこちらに迫って来ているのは、空を覆い隠す程にせり上がった超巨大な津波だ。
自分の身長の何千倍もあろう黄緑色の巨大な水瀑布が、空をも揺るがさんばかりの轟音を鳴り散らし、襲い掛かってくる。
イオリは大津波の左端へと全力で飛び始めた。
いよいよせり上がるところまで高くせり上がった大津波は二人の頭上高くで大きく波を巻き、その巨大な水の壁は轟音とともに落下してくる。
...とうとう二人は波のトンネルに包まれた。
煌めく波、降り注ぐ光り輝く水しぶき。その光景は異次元の如く幻想的で、余りにも美しいものだった。しかし、波のトンネルは重力と共にどんどん海に落ちていき、幅が狭まっていく。
────これはまずい。めめめは明らかに感じた。波のトンネルの出口へとどんどん遠ざかって行くイオリを視界にはっきりと捉え、めめめは全速力で海面を走り出した。