「あっ、見て見て!たまちゃん!」
紺色の空の下、まるではしゃぐ子供の様に、元気良く私こと夜桜たまを呼んだのは親友のヤマトイオリちゃん。
──────紫苑色の振袖に、淡い水色をした長いポニーテール。
ごく普通の人間の少女に見える彼女は、今私達が居る『硫黄海』の精霊である。
『...なあに』
私はゆっくりと聞き返した。
「ほら、暗いお空にお星様がいーっぱい!...すっごく綺麗だねえ、たまちゃん!」
『ふふ、そうだねぇ』
イオリちゃんの鮮やかな紅色の瞳が、星空みたいにきらきらと輝いている。
気づくと、私は思わず微笑んでいた。
「たまちゃんが笑顔になってくれると、なんだかイオリ、幸せな気分になっちゃうよ」
イオリちゃんは、夜空を眺めながらそう呟いた。
「......イオリ、ずっとたまちゃんと一緒に幸せでいれたらいいなぁ。」
『...そうだねぇ』
『ずっと、幸せで居られたら──────────。』