(広いな…)
青山は広間を見渡し、思った。広間の端にはたくさんの背広の男が並んでいた。青山の背後には助村と格田が立っている。
(物騒な歓迎会だな)
背広の男達からは妙な緊張を感じる。恐らく、ここで青山を始末しようとしているのだろう。
「ようこそ、水戸グループへ」
広間の少し高い所から、水戸グループの社長が言った。
「楽しみに待っていたぞ」
恐らく、それは本音だろう。
「約束通り、今日からここが貴様の居場所だ。わかったな？」
青山は答えない。ずっと社長の後ろの窓から、外の景色を見ていた。
「…おい」
後ろから助村が言う。何か反応しろ、と言いたいらしい。青山は深く息を吸って言った。
「梶が火事を起こす」
すると社長の後ろの窓が割れ、真っ赤な物体が飛び込んできた。