吹雪「提督、早く行きますよ、ぱっぱと着替えてください」
手をパンパンと鳴らし、入江提督を急かす。
入江「もー、わぁってるよ〜…」
入江提督が上着を宙に舞わすようにして着る。手袋を着けて、帽子を被る。見た目だけは一級の士官だ。
吹雪「鍵はどこですか?」
提督の車の鍵だ、いつも机にあるのだが、見当たらない。
入江「私のポケット」
そう言ってポケットを叩く。
吹雪「じゃ、行きましょうか」
今日は他の鎮守府に視察に行く日なのだ。
_数時間後_
吹雪「とばし過ぎです」
この人の運転はとことん荒い日がある。普段は安全運転なのだが、たまに軽く100キロを超える運転をするもんだから困ったものだ。本人いわく、「なんと無く」だそうだ。
入江「だはは、たまには良いでしょ?」
鍵を抜き、運転席から入江提督が、降りた。私もほぼ同時に降りる。
?「相変わらず、荒い運転ですね」
私達の後ろから、いつの間にか歩み寄ってきた、この鎮守府の”提督”。葛城津傘提督。年齢は入江提督より少し上、だが容姿は幼く、涼しげな表情を崩さない、クールな人だ。
葛城「おはようございます」