吹雪の連撃を真正面からくらい、軽い目眩をおぼえた。
津傘「元気ですね」
倒れ伏す私を屈んでもなを見下しながら、津傘が言った。
入江「まぁね、それはいいとして、相変わらず純白なんだね」
よっと、という掛け声とともに起き上がる。津傘の頬が若干紅く色づいている。
津傘「……そういえば」
私の車を一瞥して。
津傘「この車って、女性の気を引く為の車ですよね」
入江「あ、バレた？」
運転席に乗り込む。津傘もつづく。
津傘「もっと言うなら女性を口説くための車、ですよね」
察しの良すぎる奴だ、と思わず心の中で呟いてしまう。
入江「まぁね」
鍵を差し込み、まわす。するとエンジンルームからスポーツカー特有の駆動音が轟く。
津傘「私も口説く気ですか？」
冗談めかして言う津傘は、いつもより可愛い。
入江「もう沈んでるくせに」
アクセルをおもいっきり踏み込み、一気に加速する。
津傘「まぁ…そうなんでしょうか」
津傘はふっ、と息を吐きニコっと笑った。そして、「入江が言うならそうですね」と言った。
時折笑顔を溢す津傘は、ここでしか見られない、レア津傘だ。
