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小説 彼のための世界#5 |
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鯨 |
2/10 23:28 |
気づけば僕は町に立っていた。しかしそこは僕の見馴れた町ではなかった。地面は石畳で、辺りは煉瓦や木で出来た建物が並んでいる。通行人も妙な服を着ていた。
(なんだこれ)
まるでRPGに出てくるような町だった。
「転生って、マジかよ…ん!?」
すごく違和感があった。もう一度声を出す。
「転生…うわっなんだ!?気持ち悪い!」
僕は日本語を話していなかった。聞いたことのない言語だ。しかし何と言っているのか理解できるため気味が悪かった。通行人の会話を聞いてみる。同じく、知らない言語を話しているのに理解はできる。文字も見慣れないものだったが読める。
(なんだよ…これは)
僕が頭を抱えているとき、
「君…転生者かい?」
と声をかけられた。振り返ると、目元に変な仮面をつけている男がこちらを見ていた。