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小説 彼のための世界#8 |
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鯨 |
2/13 18:48 |
建物の中は意外と広かった。食堂や浴場もある。サンプルに案内されている途中、少年少女らとすれちがったが、皆僕のことを興味深そうに眺めていた。
「ここが寝室だよ」
サンプルが扉を開く。そこには二段ベッドがあり、部屋の隅には鞄がおいてあった。誰かが使っている部屋なのだろうか。
「実は二人でひとつの部屋を使うことにしていてね。君はカイト…ほら入口で会った彼だよ。彼と一緒の部屋をつかってもらおう。彼も転生者でね。話が合うんじゃないかな」
なるほど、彼は転生者だったのか。
「途中で会った子どもたちも転生者なんですか?」
「全員ではないよ。彼らのほとんどは孤児さ。魔物の侵攻で住む場所や家族を失った…」
そうだったのか、可哀想に…ん?
「この世界、魔物いるんですか!?」
「あぁいい忘れてたね。いるよ」
衝撃の事実だ。