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[短編:8]ー彼岸花ー |
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入江 |
6/13 22:46 |
夕食を食べ終えた私達はほろ酔いのなか、どちらが先にお風呂に入るかで、話あっていた。
「加賀さんがお先にどうぞ、先輩ですし」
真剣な眼差しでそう言う彼女は完全に許容量をこえ、酔っぱらっている。私に合わせて飲んでいたのだろうか。
「翔鶴が先に入って目を覚ましてきなさい。ここは貴女の家っていうのもあるのだから」
でもー、と渋ったが、最終的に折れたのは翔鶴だった。
翔鶴がお風呂に入っている間に皿洗いを済ませ、二階の寝室のベッドを整理しておくことにした。
大きめのシングルベッドだ。翔鶴一人が寝るのには大きいくらいだ。クローゼットを開き、薄い毛布を一枚拝借していく。
いい忘れたが私は別の部屋のベッドで寝ることになっている。
台所のあの硝子机に、先に寝る、という主旨を書き込んだメモ用紙を置いておく。
シャワーは、まぁ朝にでも浴びよう。とにかく今日は何故か眠い。早く寝たいという欲求が非常に強い。