***
「こ、こんにち・・・は」
森からやって来た少女は、今回も礼儀正しく挨拶をする。
大きなお屋敷なのに、勇気を出して踏み入れるなど、立派なことだ。
「お客様かしら?」
飛び出る歯を少し隠しながら、招き入れる。淡い水色のワンピースを翻し、トコトコと裸足のまま屋敷に入る。
その小さな背中を見ると、いつしか私を越すことを思い出す。
「・・・また来たのね。咲夜」
ぽつりと溢した一言は、耳に届いていた。
「さく、や?
私は咲夜って言うの?」
首を傾げ、好奇心丸出しにして近寄ってくる。
ふうと息を出すと、レミリアは言った。
「ええ。今日からよろしくね」
無事に、笑えただろうか。
気にする時もなく、少女は部屋を見渡す。
「私、ここ来たことあるかもぉ・・・?」