CHIBI QUEST 3 |
短編で
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薄暗い夜に決して大きくはない町には「マージャン チューレン」とネオンが「ここで打てよ。」と言わんばかりに、眩しく光る。
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私はその光に釣られる蛾の様に店へと脚を運んだ。
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「らっしゃい。兄さんお初だな。夜中だからよ、客足が少ないけどゆっくりしていきな。」
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雑誌を右手と膝に、薄い札束を左手にしていたマスターはこちらをチラっと見たあとにそう言った。
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「空いてる卓しかねェけど、メンツは足りてるぜ。」とマスターは付け足して言った。
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一局場代300円と格安な店であるように、店内はボロボロになった壁や、ラーメンの汁が浸いていた。
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モクや酒の臭いが飛び交うなか、私はネオンにやられた細い瞼を薄く開けて人数を確認した。
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ちょうどサンマを打ってる卓がオーラスになったので、私はメンバーを確認していた。
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鞄を大事そうに抱える男、それにヤケに眼鏡を触る男、それに加え打ちながらクスリを飲んでいる男。
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私は「流石は雀荘だ。」と無関心な中に関心を抱いた。
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現代の麻雀にこんなヤツらはそうそう居ない。
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なんせ健全に普通に打ってるからである。
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しかもふざけてもいる。
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しかしこいつらは卓を見つめ、互いを見つけ、会話はおろか。一言もしゃべらず黙々と打っているのである。
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私は麻雀をふざけて打ったり、何も賭けないやつは博奕をナメていると思っている。
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それに比べるとこいつらはカバンを抱えてはいるものの、クスリはやっているものの、眼鏡を触るものの、ふざけ半分で乱暴に打っていない。
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臆病に、慎重に、表情を覗きながら、縛りながら打っている。
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乱暴に、場を見ずに、考えずに、引っ掛かかるようには打ってはいない。
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疲れた
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