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小説 彼のための世界#24 |
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鯨 |
2/26 22:29 |
結局僕はフランに案内してもらい、宿屋の入口に辿り着いた。そこにはカイトと莉央がいた。
「田中!」
カイトが手を振る。笑顔だったため少し安心したが、まだ陰りがあるように見える。
「あっ昨日の…」
莉央がフランを見て言う。しかしフランは覚えていないようだった。
「じゃ、おっさんの所に行くか」
カイトが言った。
「サンプルさん、今どこにいるんだ?」
「…さぁ」
僕は呆れる。それじゃあ見に行くも何もないだろう。
「サンプル…。もしかして、仮面の?」
フランが尋ねる。
「はい。知ってるんですか?」
「そうか…あなた達、昨日の…」
どうやら思い出したらしい。
「彼ならヲタクの所にいると思うわ。案内してあげる」
そういえば、ヲタクという男がサンプルを回復していたな。
『お願いします!』
僕達は声を揃えて言った。