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小説 彼のための世界#28 |
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鯨 |
2/28 15:48 |
翌日、広場にはたくさんの人が集まっていた。勇者の見送りだ。
「では、お気をつけなされ」
町長がEuclidに頭を下げる。それと同時に周りの人々も頭を下げた。
「短時間しか復興を手伝えなかったことを申し訳なく思う。今日中に宮廷からの人員が到着するそうだ。後は彼らに託そう」
Euclidが声を張り上げる。
「魔王を倒し、世界に平和を!」
広場中に拍手が響いた。僕も手を叩く。そして彼らは町を出発した。
「行ったな…」
カイトが呟く。徐々に人が少なくなり、残ったのは僕達だけになった。
「あの竜、倒してくれるかな」
僕は少し心配になった。
「大丈夫よ。あの人達、強いもの」
莉央が肩を叩く。
「それに俺達もすべきことがあるだろ」
カイトが言う。そうだ。呪いを解く方法を探さなくてはならない。とはいえ
「完全にノープランだけど」
「それを言うなよ」