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小説 彼のための世界#36 |
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鯨 |
3/10 21:57 |
件の回復魔道士はすぐに見つかった。というのもヲタクからの連絡があったらしく、すでに事情は把握しているとのことだった。
「おっお前ら、こんなところで何してんだ?」
回復魔道士を見送った直後、聞き覚えのある声が聞こえた。
「うちゃこんさん!」
彼の後ろにはモモもいた。
「ったく。暇人かよ」
うちゃこんが言う。
「暇じゃないぞ!」
カイトが言い返した。
「恩人を救う方法、だろ。そんなの勇者に任せときゃいいんじゃねぇの」
「そういう訳にはいかない」
うちゃこんとカイトは睨み合う。
「まあまあ、落ち着いて。ほら、うちゃこん。私達も行かなきゃ」
モモが仲裁する。そして二人はどこかへ行ってしまった。
「さて、これからどうするの?」
莉央が言う。
「どうするって言われてもな…」
カイトは顎に手を当てる。すると視界の端で何かが動いた。よく見ると、広場の隅に少女がいた。