遠い昔の話、ある兄妹がいた。彼らの名は、兄の煌輝(こうき)、妹の来夢。
兄は既に物心ついた頃だったが、妹はまだ幼かった。
だが来夢はある時、彼女が19歳になった15年後、如月家の第一王子、如月柊(きさらぎひいらぎ)王子と結婚し、来夢の実家皇(すめらぎ)家と如月家両家の交流を深めるという目的でその話が持ち出された。
その話が決まってから、如月家のしきりにいち早く慣れさせなくてはという来夢の父の意見で、彼女は自分の意志でもないまま、その年から如月家に引き取られ、皇家の者と会うことも、制限によって次第になくなっていった。
更に彼女の両親が、翌年に事故死。それを幼い彼女に伝えないかのように、如月家は周囲の人間に誰一人知られることなく、遠い国へと引っ越していった。
それは、皇家に一人残された、来夢の兄・煌輝にさえ知らされることなく＿＿＿＿＿＿。

…こうして二人の兄妹は、生き別れとなったのであった。

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