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小説 彼のための世界#27 |
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鯨 |
2/28 15:17 |
話を終え、僕とカイトと莉央は宿屋に戻った。そして僕が泊まっていた部屋に集まった。
「俺達に何かできないかな」
カイトが言う。
「何か?」
僕は意味がわからなかった。
「おっさんを目覚めさせるためにだよ」
「でも、それはEuclidさん達が…」
先程の会話を思い出す。Euclidが、巨竜を倒すと言っていたではないか。
「…それでも俺は何かしたい。恩人が大変な目にあってるんだ」
「気持ちはわかるけど…巨竜を倒すっていうの?」
莉央が言う。恐らく無理だ。
「他に方法があるはずだ。呪いを解く薬だってあるんだぞ」
どうやら呪いを使う魔物はたくさんいるらしく、呪いを解く薬も存在するそうだ。
「でも薬は効かないんでしょう?」
確かにヲタクは「巨竜を倒す」としか言っていない。薬のことには触れていなかった。
「俺達が知らないだけで、この世界にはおっさんの呪いを解ける薬があるはずだ」
僕は昨日転生したばかりで、この世界のことはよくわからない。しかし彼の言うことに納得はできた。僕と莉央は顔を見合わせる。
「やれることはやってみるか…」
冒険が始まった。